1963 年 37 巻 6 号 p. 346-350
(1) 納豆菌による合成培地での粘質物生成に対する諸条件を検討し,ほぼ満足できる培養方法を設定した.
(2) 糸引きと平行してペプチド窒素が増加し, 40°,静置培養において9日目に最高49.1mg%のペプチド窒素の生成を見た.
(3) 炭素源としては,グルコースまたはシュクロースが適当で,その濃度は2.5%以上が必要であった.とくにシュクロースの場合はケトヘキソースを含む多糖類が生成し,糸引き期間の延長と安定化がみられた.
(4) ビタミン類としてはビオチンだけが必要で,その濃度は1~10γ%が好適であった.
(5) 培養温度としては40°がよく,胞子形成と糸引き度との温度関係を考察した.
(6) 大豆はその蛋白質と共に炭水化物の質と量においても上記の諸条件に合致し,粘質物生成に好適であると認められた.