日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
多糖類醗酵性乳酸菌に関する研究(第3報)
F-101菌の栄養要求と蔗糖,イヌリン醗酵因子の存在について
五月女 伸一北原 覚雄
著者情報
ジャーナル フリー

1963 年 37 巻 6 号 p. 351-356

詳細
抄録

イヌリン醗酵性乳酸菌F-101菌の栄養要求について検討した結果,次のことを認めた.
(1) 本菌はグルコースを糖原とする一般の乳酸菌合成培地に生育し,ビタミン類ではリボフラビン,サイアミン,パントテン酸カルシウム,ニコチン酸及びビオチンを,アミノ酸類ではアスパラギン酸,グルタミン酸,アルギニン,バリン,トリプトファン,シスチン及びロイシンを必須的に要求する.
(2) 乳酸菌用合成培地の糖原を蔗糖またはイヌリンに代替した場合には全く生育を示さないが,培地中に酵母エキス(Difco)の添加こよって充分生育し生酸を遂げることを認めた.
(3) この効果はBrain heart infusion (Difco)も強くもっている.
(4) この効果のうち,蔗糖に対しては酵母エキスの透析内・外液ともに,またイヌリンに対して透析外液に有効因子の存在を認め,またバイオオートグラフィーによってその存在を確認した.
(5) 糖醗酵性と栄養原相互の関係を検討したところ,蔗糖,イヌリンの他にラフィノーズに同様の結果を認め,特定の糖醗酵性と栄養原の間に存在する生育,並びに醗酵能誘起因子につき考案した.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top