日本農芸化学会誌
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モノグリセライドのデンプン粒の粘度と膨潤に及ぼす影響
奈良 省三前田 巖辻野 隆房
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1964 年 38 巻 7 号 p. 356-360

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抄録

(1) ジャガイモデンプンに対するglyceryl monostearateの作用は,添加量が5%以下の場合には多いほどデンプン粒の膨潤度の低下とデンプンノリの粘度の低下とがみられたが,デンプンに対し5%程度でほぼ最大である.
(2) このデンプン粒の膨潤に対する作用はジャガイモデンプンでは65°が最大であったが,コムギデンプンでは90°,トウモロコシデンプンでは75°であって,デンプンの種類によって最大の膨潤抑制を起す温度が異なる.
このように最大の膨潤抑制を起す温度はデンプンの種類によって異なるが, 90°の高温においても抑制作用があることは確かである.このことは粘度図でもみられた.
(3) モノグリセライドの一群においてはジャガイモデンプンの粘度発現の抑制はその溝成脂肪酸の炭素数でC12>C14>C16>C18であって,膨澗度の抑制もほぼ同じである.
(4) Sucrose monostearate, Span 60, Tween 60のジャガイモデンプンの粘度発現の抑制と膨潤の抑制作用はともに少なく, glyceryl monostearateが最も大きい作用を示した.
なおピロ燐酸ソーダ, carboxymethyl celluloseはこれらのいずれよりも著しい粘度抑制作用を示した.

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