1965 年 39 巻 10 号 p. 371-377
大麦デンプンの流動学的性質を主として測定し,米デンプンの数値と対比した.まず大麦,はだか麦,カナダ大麦それぞれ3点ずつから物理的分離法でデンプンを調製したが,純度は原報と同程度であった.電流滴定法によるアミロース含量は23~27%で,比色法では5%位高い数値をえた. X線回折図は品種間の差はほとんどなく,いずれもA図形を示した.アミログラムは米デンプンに比べてブレークダウンが小さく,デンプン粒が崩壊しがたいことが顕微鏡観察によっても認められた.またデンプンゲルの粘弾性は米よりも大きい.これら加熱ノリとは反対に,アルカリビスコグラムは米よりもアルカリ抵抗性が小さいことを示している.これらの流動学的性質はいずれも品質間の差が非常に小さい.
以上の諸性状を総括すると,大麦デンプンはインド型米デンプンより「硬質」と考えられる.