日本農芸化学会誌
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原子吸光分光分析法による配合飼料および原料中の無機物の迅速定量(第1報)
カルシウムとマグネシウムの定量
増村 忠宏菅原 道煕有吉 修二郎
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1965 年 39 巻 10 号 p. 402-407

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抄録

配合飼料および原料の品質管理の面から,多数の試料の無機物分析を迅速に行う目的で,原子吸光分光分析法の検討を行い,カルシウムおよびマグネシウムの定量に応用でき得ることを認めた.
(1)原子吸光分光分析法による,カルシウムおよびマグネシウムの定量について基礎的検討を行い,カルシウムおよびマグネシウムの測定条件を定めた.
(2)共存元素の影響について調べた結果,カルシウムに対しては,リンおよびケイ素が,マグネシウムに対しては,ケイ素がかなりの干渉作用を示したが,いずれも測定液中に塩化ストロンチウムを添加(測定液中のストロンチウム濃度が4,000p.p.m.となるように添加)することにより,これらの干渉を抑制することができた.
(3)カルシウムの検量線は0~100p.p.m. (吸光度0~0.27)の範囲で,マグネシウムの検量線は0~10p.p. m. (吸光度0~0.28)の範囲で直線性を示した.
(4)配合飼料中のカルシウム及びマグネシウムの定量は,光源ランプを交換することにより,同一測定液を利用することができた.
(5)添加回収試験,個別定量法(カルシウムは過マンガン酸カリ容量法,マグネシウムは柳沢法による吸光光度法)との定量値の比較検討を行い,いずれも満足のいく結果を得た.
(6)本分析法による定量値の再現精度は,同一サンプル液について, 7回測定した結果,カルシウムの場合は変動係数1.13%,マグネシウムの場合は変動係数1.20%であった.

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