1966 年 40 巻 12 号 p. 461-465
オニユリの花粉30gから色素I, IIを結晶状に分離した.収量はそれぞれ17mg (0.056%), 11mg (0.036%)であった.色素Iはm.p. 191~193°の淡黄色針状結晶,色素IIはm.p. 179~182°(分解)の黄色針状結晶で,融点, PPCによるRF値,呈色反応,紫外線および赤外線吸収スペクトルなどは,それぞれルチンおよびナルシシンと一致する.さらに両色素を加水分解し,得たアグリコンはいずれもm.p. 300°以上の黄色針状結晶で,紫外線吸収スペクトルは,それぞれクエルセチンおよびイソラムネチンと一致し,構成糖は両色素ともグルコース,ラムノースよりなることを認めた.以上から分離した色素Iをルチン,色素IIをナルシシンと同定した.