日本農芸化学会誌
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定常熱伝導系の微生物学への応用(第2報)
温度勾配培養法による微生物の発育温度範囲と至適温度の迅速検定
中西 武雄中江 利孝
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1967 年 41 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

上下方向の液体熱伝導方式の温度勾配培養装置を用いて,各種微生物の発育温度範囲と至適温度を検定する方法を考案した.純粋菌株を混釈固化した寒天培地入培養管を, 60°C~6°の温度勾配槽に挿入して培養を開始し,集落の発生位置と一定時間培養後の集落帯の拡がり範囲から,その菌株の発育適温と温度範囲を知ることができる.とくに色素生産菌およびかびは,その色調によって容易に検定できる一方,メチレン青還元菌はその還元帯の形成によって発育適温を容易に観察できる.この方法は1本の培養管を用いて微生物の発育適温とその温度範囲を迅速に検定でき,かつ温度勾配槽の上下温度範囲を任意に設定するにとによって,この温度特性の数値をより厳密に測定することができる.このような検定法は微生物の同定と分類に有力な手段となるのみならず,発育適温下で行なう種々の培養試験または菌体の収集に,より正確な数値を提供するものである.

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