日本農芸化学会誌
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L-グルタミン酸発酵に関する研究(第2報)
ストレプトマイシン耐性グルタミン酸生産菌のバクテリオファージおよびリゾチーム耐性について
広瀬 義夫中村 淳二岡田 弘木下 一幹亀山 巌椎尾 剛
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1967 年 41 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

Brevibacterium lactofermentumに属する1菌株のストレプトマイシン耐性獲得に伴う諸性質の検討を前報に引き続き行ない,次の諸点を明らかにした.
(1)ストレプトマイシン感受性菌と耐性菌においてグルコースおよびいくつかの有機酸を基質としたときの休止菌体の呼吸活性,イソクエン酸脱水素酵素活性,クエン酸よりのグルタミン酸生成能, G-C content,グラム陽性度等に相違をみとめなかった.
(2)ストレプトマイシン感受性菌を溶菌するファージに対してストレプトマイシン耐性菌は耐性を持ち,ストレプトマイシン耐性菌は感受性菌に比してリゾチーム感受性が低い.このファージ耐性またはリゾチーム感受性の変化は継代培養法によるストレプトマイシン耐性獲得の途上で得られる.
(3)リパーゼ,トリプシン,ペプシン,パパイン,セルラーゼ, RNAase, EDTA等は,それぞれ単独ではストレプトマイシン感受性菌および耐性菌に対する溶菌作用をほとんど持たないが,リゾチームとともに添加したとき,リパーゼ,トリプシン,ペプシン,パパイン,セルラーゼは,ストレプトマイシン感受性菌のリゾチームに対する感受性を高めた.ストレプトマイシン耐性菌では上記のそれぞれをリゾチームとともに添加しても,リゾチームに対する感受性は依然弱く,大きな変化はみられなかった.以上の事実より,ストレプトマイシン感受性菌と耐性菌の間には,細胞表層付近に何らかの相違が存在すると推察した.

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