日本農芸化学会誌
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酪農用乳酸菌の脂肪分解に関する研究
(第1報) 乳酸菌菌体の各種脂肪懸濁液に対する分解活性について
佐藤 泰梅本 弥一郎岩山 俊一
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1967 年 41 巻 11 号 p. 585-591

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抄録

(1) 12種の酪農用乳酸菌の純粋分離株の脂肪分解作用を染色脂肪を基質として定性的に検出するための実験を行なった. 12種の菌株のうち, Lactobacillus 4株, Streptococcus 2株, Leuconostoc 1株は微弱ながらナイル青染色脂肪の色調を変化させた.またMicrococcus 2株は明らかな色調変化を示した.トリブチリンを用いたときには,どの菌も寒天平板上で透明な環を生じた.
(2) 48時間,所定の温度で生育させた8菌株の菌体を捕集して菌体懸濁液を調製し,トリブチリン,バター脂肪オリーブ油の脂肪懸濁液とともに37°で振とうしながら所定の時間インキュベートし,滴定される酸を定量した.その結果,各菌とも3種の脂肪を分解して滴定酸を生成した. 3種の脂肪のうちトリブチリンからは最も多くの酸が生成し,バター脂肪,オリーブ油では滴定酸の生成量がかなり低かった. 8種の菌株のうち, M. luteus菌体は3種の脂肪に対して滴定酸の生成量がいずれも著しく多かった.

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