日本農芸化学会誌
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花粉の生化学的研究(第7報)
花粉のビタミンについて
斗ケ沢 宣久勝又 悌三深田 稔本居 孝雄
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1967 年 41 巻 5 号 p. 184-188

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抄録

風媒花粉としてバンクスマツ,クロマツ,アカマツ,トウモロコシ花粉,虫媒花粉としてカボチャ,オニユリ花粉を用い,ビタミンAおよびβカロチンを検討し, B1, B2, C,パントテン酸,ビオチン,コリンを定量,さらにB1, B2, Cの結合型の分別定量を行なった.
(1) Aは供試花粉中いずれにも検出されなかったが, βカロチンはマツ類以外のトウモロコシ,カボチャ,オニユリ花粉中に存在を認めた.
(2) B1はカボチャ花粉がもっとも多く2,153γ%であった.マツ類では748~915γ%で,この中エステル型がほぼ半数をしめているが,他の花粉では明らかに遊離型が多い. B2はカボチャ,オニユリ花粉に多くそれぞれ2,309, 1,829γ%,他は922~1,128γ%で,遊離型はいずれも総B2中のほぼ半数(42.8~62.8%の範囲内)をしめている. FMNは他の花粉に比しマツ類花粉に少なく,反対にFADが多い. Cはマツ類,トウモロコシ花粉に多く58.5~73.7mg%で, RCはとくにマツ類花粉に多い.
(3)パントテン酸はオニユリ,クロマツ花粉がそれぞれ305, 396γで,他の花粉は848~974γ%である.ビオチンはオニユリ花粉に多く60γ%で,コリンはカボチャ,トウモロコシ花粉に多い(633.4~690.7mg%).

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