日本農芸化学会誌
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大麦中のtotal β-amylase測定法の再考察と大麦中のzymogen β-amylaseの存在形態について
麦林 楢太郎新家 龍
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1967 年 41 巻 7 号 p. 295-303

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抄録

(1)大麦中のzymogen β-amylaseの活性化には,従来パパインが最大効果を有するとされ,したがって,大麦total β-amylase活性はパパインを用いて測定されてきた.しかしSH試薬である2-mercaptoethanolが大麦zymogen β-amylaseの活性化においてパパインの活性化効果を遙かに凌ぐことを見出し, 2-mercaptoethanolを用いる新しいtotalβ-amylase測定法を各種大麦試料について検討した.その結果,従来のパパインによる測定法に代わるものとして,本報ではパパインを含む2-mercaptoethanolを用いる大麦total β-amylase測定法を確立し,提唱した.
(2) 2-Mercaptoethanolを用いて大麦中の不活性型β-amylaseの完全抽出ならびに活性化を試み,得られた結果から塩類およびパパイン抽出液中に可溶性で不活性なβ-amylaseの存在を推論し,大麦発芽中の不活性型酵素の消長を観察するとともに,パパインを含む2-mercaptoethanlを用いる大麦total β-amylase測定法の妥当性を確認した.

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