日本農芸化学会誌
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油脂特殊成分の濃縮に関する研究(第1報)
溶媒抽出および分子蒸溜によるエゴノールの濃縮について
松原 弘道
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1967 年 41 巻 7 号 p. 304-309

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抄録

エゴ種子油からエゴノールを選択的に抽出するため,アセトニトリル,γ-ブチロラクトンおよびニトロメタンを油の4倍容用い, 35~65°の範囲で抽出試験を行なった.いずれの溶媒でも抽出物中のエゴノールの含最は40°,抽出率は45°でそれぞれ最高の価を示し,三者中ニトロメタンが最も優れている.また40°における溶媒比はアセトニトリルでは4~6倍容ニトロメタンでは4倍容が適当であり,後者の多回抽出試験では,等容4回抽出, 2倍容2回抽出あるいは2倍容1回,等容2回抽出が良好であった.かかる操作によってエゴ油中の全エゴノールの77~85%が抽出され,エキス中のエゴノール含量は28~30%に達する.溶媒抽出によって得た濃縮エゴノールを10-4~10-6mmHg下,流下式分子蒸溜装置で分子蒸溜を行なうと, 150~170°の溜分に全エゴノールの69%が回収され,溜分中のエゴノールは約50%に達し,原油の8.7%倍に濃縮される.

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