日本農芸化学会誌
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デヒドロアスコルビン酸のin vitroにおける安定性について(第2報)
熱に安定な因子
大村 京生寺田 和子
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1967 年 41 巻 7 号 p. 310-316

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抄録

(1)37° pH 2.4およびpH 4.5におけるDHAの加水分解速度に対する各種陽イオン,陰イオン,窒素化合物の添加の影響をしらべ, pH 4.5ではAl3+, Cr3+ CNO-, ClO-, MoO42-, WO42-が著しく, Pb2+, Fe2+, Sn4+, S2O42-, SnO32-が中程度に, pH 2.4ではFe3+, MoO42-が著しく, Cr3+, Sn4+, ClO-, S2O32-, SO32-, SO42-, P2O74-, CrO42-, WO42-, SnO32-が中程度にDHAの加水分解反応を促進することを認めた.
(2) Pb2+, Cu2+, Fe3+およびCrO42-の添加においてDKGの集積を示さないのは,これらのイオンがDKGの消失をDHAからの生成以上に促進するからである.これに反しCNO-, ClO-の存在下では, DHAはDKGを経ないで分解すると考えられる.
(3)とくに加水分解促進の著しいFe3+, Al3+, Cr3+, Sn4+, CNO-, ClO-, MoO42-およびWO42-について,その促進のpH依存性,温度依存性をしらべた.いずれの促進もpHに著しく依存し,一般にpHが低下すると促進は減少するが,各イオンによりpH依存性が異なる.また活性化エネルギーもpH 2.4のFe3+のごとく著しく高いもの, pH 2.4のAl3+, pH 4.5のSn4+のごとく著しく低いものとあり,陰イオン添加時における浩性化エネルギーは,無添加時のそれに比し70%内外と一般に低下していた.このpH,温度依存性からこれらイオン添加による加水分解促進の機構について簡単な考察を行なった.
(4)はっきりしたDHA加水分解の促進をきたす窒素化合物は認められなかった.

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