日本農芸化学会誌
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リンシ目幼虫,とくにカイコにおけるヒスチジンの多量排出に関する研究
近藤 義和
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1967 年 41 巻 7 号 p. 324-328

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抄録

(1)カイコの最後の糞を分析し,他のアミノ酸に比べヒスチジンが著しく多く存在し,その排出量と幼虫の生育との関係を調べてヒスチジン排出の特徴を明らかにした.ヒスチジン排出量には雌雄差は認められず,また絶食によって排出量が増えた.
(2) 5令期を中心にヒスチジンの収入量と支出量を1個体あたりで測定したところ,両者はほぼ等しかった.
(3) 5令期のカイコの酵素標品をヒスチジンと反応させた場合,プロテアーゼによるヒスチジンの生成は認められたが,反応液中の全ヒスチジン量は一定であった.
(4)これらの結果から,カイコはヒスチジンを新たに合成し,また分解しないものであり,体組織の分解と組糸蛋白質の再利用の残余物としてヒスチジンを排出するものと結論した.

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