日本農芸化学会誌
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電流滴定法による小麦グルテンたんぱく質のSH基ならびにSS結合の定量
岡田 憲三米沢 大造
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1967 年 41 巻 7 号 p. 329-334

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抄録

(1)電流滴定法によりManitoba No. 2, Western White, Durum,農林26号,新中長の5種類の小麦のグルテン,グリアジン,グルテニンのSH, SS含量を測定した.
(2)塩化エチル第二水銀と硝酸銀との2種類の滴定試薬を用いたが,両者は一致した値を与えた.
(3) SH基の含有量はグルテン,グリアジン,グルテニンを通じてほとんど0に近く,存在するとしても,たんぱく質105g当り0.3モル以下であった.
(4) SS結合の含有量はたんぱく質105g当り,グルテン,グリアジン,グルテニンについて,それぞれ7.4~9.9モル, 7.7~10.1モル, 4.9~8.0モルであり,小麦粉の種類により,かなりのひらきがあった.
(5)日本在来種の新中長は特に高いSS含量を示すことが注目された.
(6)グルテニンのSS含量はグリアジンのそれよりも低く,グリアジンの含量の60~80%の値を示した.
(7)一方,グリアジンのSS含量の高いものは,グルテニンのそれも高いという傾向が見られた.

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