日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
ウリカーゼに関する研究(第2報)
放線菌ウリカーゼの精製ならびに精製酵素の性質
渡辺 保人矢野 真弓福本 寿一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 42 巻 10 号 p. 621-626

詳細
抄録

Streptomycesに属する1菌株を塚酸を含む培地で培養し,菌体内のウリカーゼを超音波処理によって抽出した.この抽出液よりウリカーゼを,硫安分画,アセトン分画,DEAE-セファデツクスカラムクロマトグラフィー,セファデツクG-200ゲル濾過等の方法により,約600倍精製した.
精製酵素の反応最適PHは,硼酸緩衝液中ではpH 8.0,燐酸およびトリス緩衝液中ではpH9.0であり,その活性は,pH 8.0の硼酸緩衝液中で最高であった.反応の最適温度は,30~50°Cであった.精製酵素は,pH 6.0以上,また50°C以下では極めて安定であった.硼酸塩を含まない反応液中では,290mμの吸光度で測定した尿酸の減少に遅れが認められたが,これは紫外部に吸収のある反応中間産物の影響によるものと考えられた.放線菌のウリカーゼは,哺乳動物の酵素と同様に,高濃度の基質によって阻害され,またキサンチンにより拮抗的に阻害された.精製酵素の尿酸に対するKmは2.50×10-5M,キサンチンに対するKi1.33×10-4Mであった.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top