日本農芸化学会誌
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乳中の放射性核種の除去に関する研究(第1報)
混合塩型陽イオン交換樹脂処理による乳質の変化
近藤 敏斎藤 健輔仁木 達酒井 重男古我 可一野崎 博
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1968 年 42 巻 2 号 p. 72-78

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抄録

(1) 牛乳中の放射性陽イオン物質を陽イオン交換樹脂,アンパーライトIR-120で除去するにあたり,処理乳の主陽イオンであるCa, Mg, Na, Kの変化をできるだけ小さくするために使用する樹脂の再生液の塩組成をCa 0.67, Mg O.23, Na 0.13, K 0.77当量/1と決定した.
(2) 樹脂処理による乳質の変化を通乳初期で最小限にとどめることを目的としているため,分析に供した処理乳試料は樹脂量の3~10倍量までの混合乳である.
(3) 処理乳の全固形分,粗脂肪,粗蛋白質,乳糖,灰分は樹脂処理による吸着などに起因する減少がわずかに見られたが,ほとんど原乳との間に差は認められなかった.Ca, Mg, Na, Kの増減率は-7.5%, +5.7%, -4.1%, +18.4%であった.
(4) 乳製品加工上とくに影響があるのはCaの性状であるが,樹脂処理にによって原乳中の透過性Ca,とくにイオン状Caが交換されやすく,遊離のcaの減少によってカード・テンションの低下,レンネット凝固時間の延長が認められた.

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