1968 年 42 巻 7 号 p. 394-400
DL-lleuによってrufomycin生成が阻害された場合のStreptomyces atratusの培養液中の代謝物質をさらに検討した.
すなわち,そのようなrufomycin生成阻害時の培養液をぺーパー・クロマトグラフィーにかけるとRf0.84にY物質と仮称したニンヒドン陽性物質が検出された.
そこで,このY物質の生成量が培地中にDL-lleuおよびL-Leuを種々の割合で添加して培養した場合,どのような影響をうけるかについてrufomycinの生成量とともに調べた.L-Leuを培地中に添加して培養し,rufomycin生成が促進されその量が増加するにしたがいY物質の生成量は少なくなり,また,DL-lleuを局様に添加して,rufomycin生成が阻害され,その量が減少するとY物質の生成量が多くなることが示された.さらにDL-IleuとL-Leuのせり合い的拮抗によりrutomycin生成量が増減する場合も,Y物質生成量はそれと反比例して減少または増加することが認められた.これらのことから,Y物質はrufomycin生成に対し何らかの関連性を有するものと考えられる.