日本農芸化学会誌
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醸造物の香気について(第5報)
ガスクロマトグラフィーによるブドウ酒香気成分の研究
菰田 快山田 正一
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1968 年 42 巻 7 号 p. 406-412

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抄録

(1) ブFウ酒もろみの発酵中,発生する多量の炭酸ガスに伴って発散する香気成分を,ガス捕集法によって捕集し,濃厚な状態に集積させた.
(2) これをG. C.によって分析した結果,6種のアルコールと16種のエステルのピークを検出し定量した.
(3) その中で特徴的成分は,η-ヘキシルアルコールと酢酸ヘキシルであり,酢酸ヘキシルは発酵中にそのほとんどが揮散する.
(4) C5,C7,C9など炭素数奇数個の脂肪酸のエチルエステル,マロン酸エチルおよびオクチルアルコールは検出できなかった.
(5) 製品ブドウ酒点,ブランデー2点の香気成分を定量し,もろみより捕集した香気成分の量的比率と対比したところ,製品にはアルコール類の占める割合が多く,エステル類は極めて微量であった.
(6) 捕集した香気液の一部を500~1000倍のブドウ酒またはブランデーなどに添加するとき,それらの香気は著しく改良されることが官能的に認められた.

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