日本農芸化学会誌
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γ線照射による米の貯蔵効果とミクロフローラ
穀類の微生物に関する研究 第10報
伊藤 均柴部 禎己飯塚 廣
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1969 年 43 巻 11 号 p. 773-779

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抄録

(1) 日本産玄米および白米について照射後30°Cで貯蔵試験を行なった.ポリエチレン包装米は水分含量14~15%の場合0.2 Mrad照射で非照射米の3~4倍貯蔵期間が延長され,3~4カ月糸状菌数の増加は認められなかった.水分含量17%以上では0.4 Mrad以上照射しなければ貯蔵効果の延長は期待でぎない.
(2) ガス透過性良好な包装材たとえばクラフト紙による米の貯蔵の場合には,湿度75%以下・水分含量15%以下において照射米の著しい貯蔵効果が認められ,0.2 Mrad射米では3~4カ月以上糸状菌数の増加が認められなかった.
(3) 0.02~0.05 Mradの殺虫線量では殺菌効果は認められなかった.
(4) 30°C貯蔵の条件で菌数増加を示す糸状菌は,水分含量17%以上ではAsp. glaucus group, Pen. citrinum seriesが主で,その他Asp. restrictus, Asp. versicolor, Asp. candidus等も認められた.水分含量16%ではAsp. glaucus group, Asp. vestrictus,水分含量14~15%では好浸透圧性Asp. restrictiss のみの菌数増加がみられた.

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