日本農芸化学会誌
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麦芽アミラーゼに関する研究(第16報)
塩類可溶性zymogen β-amylaseの存在形態について
新家 龍麦林 楢太郎
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1969 年 43 巻 11 号 p. 802-809

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抄録

(1) 粉砕大麦および菱芽の塩類抽出液を硫安分画にて蛋白質成分を集め,セファデックスG-75カラムでゲル濾過し,β-amylaseの分画を行なった.火麦抽出液の場合には,6つの画分のうちFract. BおよびCに酵素活性が存在し,Fract.Bは可溶性Z-β-A画分であることを認めた.また麦芽抽出液の場合には,5つの画分のうちFract. C'のみに酵素活性が集中し,Z-β-Aは認められなかった.
(2) Fract. BおよびCとFract. C'の均一性について,再クロマトグラフィー,濾紙電気泳動,超遠心分析などによって検討した後,ゲル濾過による分子量測定を行なった.その結果,Fract. Bは約160,000,Fract.CおよびC'はともに約56,0OOと推定された.
(3) 活性β-AとしてFract. C'を3M尿素の存在下で0.3M赤血塩または0.OlM過酸化水素とともにpH 7.0, 25°C,20時間incubateした結果,Fract. C'がFract. B'へ移行することを認めた.この移行現象は,SH試薬によってFract. C'を前処理すると阻止された.
(4) Fract. BおよびB'の活性化処理において,パパインによってはほとんど活性化されないのに対し,2-MEによって著しく活性化されることがわかった.これらのことからFract. B'は,Fract. C'のS-S結合による酸化的重合酵素であろうと推論した.

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