日本農芸化学会誌
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ヒマ発芽種子胚乳のクエン酸合成酵素アイソザイムとその性質
阪本 禮一郎本間 和男藤井 ミチ子本田 幸一郎
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1970 年 44 巻 9 号 p. 405-411

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抄録

ヒマ発芽種子胚乳よりミトコンドリアとグリオキシゾームを分離し,それぞれに含まれるクエン酸合成酵素について電気泳動を行ない,その泳動の違いよりアイソザイムであることを確認した.さらに,ヒマ胚乳の粗顆粒画分よりクエン酸合成酵素の精製を試みた.リン酸カルシウムゲル処理,硫安分画の後, DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーを行ない, 2つの酵素活性ピークを得た.おのおのがミトコンドリアとグリオキシゾームのクエン酸合成酵素と電気泳動的に一致した.
次に, M-CS, G-CSの性質を検討した.
(1) 最適pHはM-CS, G-CSともに8.0~8.1であり, pH 8.0におけるアセチルCoAに対するKmは,それぞれ3.4×10-5M, 8.5×10-5M,オキザロ酢酸に対するKmは,それぞれ0.83×10-5M, 4.5×10-5Mであった.
(2) M-CS, G-CSは,ともにクエン酸,グリオキシル酸により拮抗的な阻害を受け,コハク酸によりそれぞれ拮抗型,非拮抗型の阻害を受けた.
(3) M-CSはATPにより強く阻害され,その阻害様式は,アセチルCoAに対して拮抗型であった.
G-CSはM-CSよりATPの阻害が弱く,阻害様式は混合型であった.

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