1972 年 46 巻 4 号 p. 207-213
ハマニンニク型およびカモジグサ型の各麦角菌菌体から,麦角アルカロイド合成能を保持したセルフリー抽出液を調製することに成功するとともに,これら2種のセルフリー液中でtryptophanからだけでなく, 4-(γ, γ-dimethylallyl)-tryptophanからも, setoclavineが圧倒的に多量に合成されるという事実を見出し,かつここに合成されるsetoclavineが,各種麦角アルカロイド中で最初に合成されるものは1ysergeneである,との事実を示唆するtryptophan→4-(γ, γ-dimethylallyl)-tryptophan→lysergene→setoclavineなる経路でつくられるものであることをも見出した.