1972 年 46 巻 6 号 p. 273-280
(1) Lactobacillus casei IAM 1043を,ニトロソグアニジンで処理することにより,熱処理で誘発の起こる変異株4株を分離した.これらは,いずれもファージの変異株である.
(2)変異株の熱誘発条件について検討した結果, 3株は36°C以上, 1株は35°C以上の温度条件で誘発が起こることがわかった.処理温度が高いほど,処理時間は短くてよい.
(3)誘発による溶菌は,菌のageおよび培地pH値が関係し,休止期の菌を用いたときや,増殖期の菌でも培地pH値の低下が著しいときは,誘発が起こりにくくなる.
(4)変異株を用いての大量誘発実験の結果,誘発の制御は容易であり,熱誘発変異株を用いての酵素材料の生産は,方法として十分実用化できることがわかった.