日本農芸化学会誌
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p-ベンゾキノン・アミノ酸反応系において生成するインドフェノール還元性物質について
畑中 千秋大村 浩久野村 男次
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1972 年 46 巻 7 号 p. 341-347

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抄録

酵素的褐変化については,いろいろ研究が行なわれているが,未解決の問題が多い.とくに,ポリフェノールの酵素的酸化によってできるキノン体と共存する諸成分との反応については,ほとんど解決されていない.この反応の一つのモデルとして,p-ベンゾキノンとアミノ酸との反応を取りあげ,実験を行なって2, 3の知見を得た.
(1)グリシンやヒスチジンでは,そのアミノ基がp-ベンゾキノンの1, 4位に付加し,相当するジフェノールとなること,およびこのジフェノールが還元力の源になっていることが明らかとなった.
(2)システインの場合は,そのメルカプト基が付加し,グリシン,ヒスチジンの場合と同じく相当するジフェノールを作ること,そしてこのジフェノールがp-ベンゾキノン・システイン反応系の著しい還元力発現の原因となっていることが明らかとなった.
(3)p-ベンゾキノンとN-アセチルシステインとの反応について検討し,その1, 4付加物として5種類のジフェノールを検出した.そして,それらが強い還元力をもつことを知った.
(4)この5種類のジフェノールの一つであるハイドロキノン-N-アセチルシステイン,およびその酸化型であるキノン-N-アセチルシステインを結晶状に得た.
(5)ハイドロキノン-N-アセチルシステインは,非常に強い還元力(アスコルビン酸の1.5倍)をもつことがわかった.

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