1972 年 46 巻 7 号 p. 349-354
Aspergillus sojae No. 48は,麩培養で植物組織を分解するに必要な種々の酵素系を生産するが,これは大豆の分解にも効果的であった.本菌は醤油用の麹においても,かかる酵素系を生産し,かような麹を仕込んだ場合,植物組織分解力のない麹菌のものに比べ,窒素成分や糖の分解率の向上,粕量の減少および粘度の低下が認められた.
かかる効果の発現には,食塩濃度が大きく影響するが,酵素系の中ではペクチントランスエリミナーゼが,最も高濃度食塩によって阻害された.醤油製造には,ヘミセルラーゼと同様,ペクチナーゼも重要であろうと推察した.