1973 年 47 巻 11 号 p. 681-686
油なめし効果の判定手段として,溶脱窒素量を測定する方法を検討した.酸混合液(硫酸濃度0.2N,酢酸ナトリウム濃度0.1M)中に45°Cで48時間浸漬すると,生皮粉は完全に溶解するが,なめした皮粉はなめしの程度に応じて窒素の溶脱量は少ない.この溶脱窒素法を用いて油なめしに関与する2, 3の要因の効果を検討し,少なくとも油なめしの初期過程に関しては反応機構を解明する一手段として有効であることを認めた.さらに,油なめし反応における水分条件の役割を明らかにすることが非常に重要であることを知った.
本研究の主要部分は,昭和47年度日本皮革技術協会研究発表会において講演した.