日本農芸化学会誌
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茶葉におけるフェニルアラニン・アンモニアリアーゼ活性の変化
岩浅 潔
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1974 年 48 巻 8 号 p. 445-450

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抄録

茶樹のPALは,新梢の若葉に最高の活性ぶ分布しており,成葉では低下して,幹や根と同じレベルになった.新梢の中では,上位葉ほど高い活性をもち,葉の成熟に伴って活性が低下した.新芽のPAL活性は,紅茶用品種のほうが緑茶用品種より強く,遮光処理によって低下した.茶葉のPAL活性とカテキン含量は,ほぼ比例関係にあることを認めた.
摘採した新芽を室温下明所で水にさしておくと,PAL活性は急激に低下し,24時間後には摘採直後の5%以下に減少した.一方,成葉のPAL活性は,摘採後5~8時問経過してから上昇を始め,30時間後も上昇を続けた.このような変化は,新芽,成葉ともに,4°Cの低温下では起こらなかった.プラストシジンS溶液(5μg/ml)を吸収させると,成葉の活性増加は20時間にわたって阻止されたが,新芽の活性低下は約20%阻害されたにすぎなかった.
PALと類似の反応をする,チロシン・アンモニアリアーゼは,茶葉においてはPALの1%以下の活性であり,DOPA・アンモニアリアーゼ活性は検出されなかった.

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