1976 年 50 巻 12 号 p. 573-576
1.迅速調製法により糯トウモロコシでんぷんから調製したNT-デキストリンは, D. P.が21,分岐結合が分子当り平均1個存在し,直鎖分子と分岐分子が0.375:0.625 (モル比)の割合で混合したデキストリンであることを明らかにした.
2. β-限界NT-デキストリンは, D. P.が10.6,分子当り平均1.6個の分岐結合をもち,そのSephadex G-10のゲル濾過の分画で最も多量得られる画分のD. P.は21.1,分子当り平均3.0個の分岐結合を有する密に分岐した分子であった.
3. NT-デキストリンの濃水溶液(40%)から室温で老化,沈殿した画分は, NT-デキストリンと同じA型の結晶構造であり,天然でんぷんよりも良結晶性であった.この老化の回収率は58%であったが,分子の部分的な分別はほとんどみられなかった.
4.これらの結果から,アミロペクチン中の分岐結合が,分子の結晶化に役立っていることが示唆された.