日本農芸化学会誌
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ガンマー線照射したウインナーソーセージのミクロフローラに及ぼす包装フィルムの影響
伊藤 均渡辺 宏青木 章平佐藤 友太郎
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1977 年 51 巻 10 号 p. 603-608

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抄録

保存料無添加の特注ウインナーソーセージ(VS)にガンマー線を300~500 krad照射後に増殖してくるMora-xella like Taxaに属するMA菌や酵母菌の増殖を抑制する目的で酸素ガス透過度の異なる包装フィルムの影響をしらべた.
酸素ガス透過度の異なるセロポリ,ダイアミドフィルム,Kセロハン,EG-QのフィルムにVSを窒素ガス置換して包装した場合,非照射では各包装フィルムとも2~3目貯蔵で総菌数が106/gに達しネトが認められるようになった.ところが照射VSでは106/gに達するのに要する期間はセロポリの300 kradで4~5日,500 kradで7~8日であったのに対し,KセロハンやEG-Qではその期間が延長され,300 kradで7~9日,500 kradで13~15日以上となった.この場合,セロポリとくらべ酸素ガス透過度の低い包装フィルムでは好気性菌のMA菌やMicrococcus,酵母菌などの増殖が抑制された.一方,非照射VSでは乳酸菌などが増殖してくるため包装フィルムによる効果は顕著に認められなかった.したがって,酸素ガス透過度の低いフィルムによる窒素ガス包装と照射処理とを組合わせることによりVSのネト発生を効果的に抑制することが可能と思われる.なお,食味試験を行なった結果,500 krad照射では照射直後の風味の変化がセロポリでは7日貯蔵後に消失したが,酸素ガス透過度の低い包装フィルムでは保持されていた.

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