日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
セイタカアワダチソウの根茎に含まれる抗菌性物質について
辻 久生谷 由美上田 博夫
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 51 巻 10 号 p. 609-615

詳細
抄録

セイタカアワダチソウ(Soliclago altissama L.)の乾燥根茎のメタノール抽出物を,その抗菌活性を検索しながら分割した.抽出物を水蒸気蒸留し,蒸留液より淡黄色針状結晶で分離されたcis-dehydromatricaria ester(1)は,抗菌性を示さないが,結晶母液には活性が認められた.根茎に含まれる1の含量は,植物の生育中に変化し,開花前に最大となる.水蒸気蒸留残渣をエーテルで抽出し,得られた抽出物の酸性部より分離されたkolavenic acid (2)は,グラム陽性菌に対し強い抗菌活性を示し,その最小発育阻上濃度は,6~10 ppmであった.2より誘導された数種の化合物について,その抗菌性を検討した結果,2が抗菌性を示す化学構造上の要因として,2のkolevane骨格に存在する環構造部分と,側鎖に存在する遊離の形のカルボキシル基とが認められ,このカルボキシル基に共役する二重結合によって,活性が強められると考えられる.

著者関連情報
© 公益社団法人 日本農芸化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top