日本農芸化学会誌
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醤油の火入工程中の着色予測
茂田 井宏広岡 仁史花岡 嘉夫
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1977 年 51 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

(1) 生醤油を70°~100°Cにおいて加熱した場合,着色反応速度係数(k)と加熱温度(t)の間に,logk=α+βt(1)式が成立した.また,近似的にアレニウスの式が適用され,活性化エネルギー21.2~22.4kca1/mole,Q102.47~2.57と計算された.
(2) (1) 式におけるβ値は反応pH,熟成期間,メイラード反応に関与する諸成分量にかかわらず一定で,0.038~0.041の値を示した.一方α値は,反応pHでは変化しなかったが,熟成期間,メイラード反応に関与する諸成分量により大きく変化した.特に,T.N,A.S-Gを変数とした場合,相関係数0.886とと高い相関を示した.
(3) 約65°C未満では酸化褐変の影響をうけるため,log k'=α+βtt+0.1log A/V(5)式による補正が必要であった.ただし,65°C以上の着色反応速度係数は,(1)式から計算された.
(4) 着色予測は,(1)または(5)式および熱移動の速度式,UA/W×θ=1n(tOtr)/t-tr(6)式より,kは時間の関数として表わさ,E450=〓kdθ+E0(8)式縦って行うことができた.またE450値(x)は標準色番号(y)にy=-1.153x+30.17(相関係数=-0.979)により変換された.
(5) 以上確立された着色予測方法を醤油液の火入工程に適用した結果,予測値と実測値は.相関係数0.997で非常によく一致し,その実用性を立証した.

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