日本農芸化学会誌
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フィリッピン産紫ヤマイモの塊根粉末中のアントシアニン色素について
津久井 亜紀夫桑野 和民三田村 敏男谷村 和八郎
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1977 年 51 巻 8 号 p. 471-476

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抄録

粉末UBEから脱イオン水で抽出したアントシアニン色素を安定な鉛塩として保存した.この乾燥鉛塩から,3%塩酸メタノールで色素を抽出し,TLCで分離,精製して,3種の色素が単離された.これらの色素について,(1)可視部,紫外部の吸収スペクトルの測定,(2) 5%塩化アルミニューム・エタノール添加による最大吸収波長の移動,(3) 440 nmの吸光係数と可視部最大吸収波長の吸光係数との比率,(4) 1N塩酸および10%酢酸による加水分解,(5) 15%水酸化バリウムによる加水分解(6)部分加水分解等の結果力ら,この3種の色素は次のものであることが推定された.
a) 青紫色のシアニジン-3-ゲンチオビオシド+p-クマール酸(42%)
b) 赤紫色のマルビジン-3-ゲンチオビオシド-5-ラムノシド+p-クマール酸(35%)
c) 赤色のマルビジン-3-ゲンチオビオシド-5-グルコシド+P-クマール酸(22%)

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