1977 年 51 巻 8 号 p. 519-522
ベニナギナタダケ子実体のメタノール可溶区分には強い植物生長阻害作用があり,この活性の本体がazeti-dine-2-carboxglic acidであることを物理的・化学的方法,ならびに合成で確認した.本物質がキノコのような下等な植物から得られたのはこれがはじめてである.
ベニナギナタダケが属するホウキタケ科キノコ11種について,その分布をTLCと植物活性試験をもとに調査したところ11種中9種のものにその存在が確認され,ホウキタケ科キノコに広く一般的に存在していることが判明した.またTLC上のパターンから,ホウキダケ科キノコがさらに2つのグループに化学成分的に分けられる可能性を指摘し,そのことが形態的特微ともよく一致することを明らかにした.