日本農芸化学会誌
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アワビ肝膵臓中のフコイダン分解酵素について
(2) CM-セルロース吸着画分
富士川 龍郎小藪 浩二郎和田 正太
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1979 年 53 巻 6 号 p. 197-202

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抄録

アワビ肝膵臓に存在し,フコイダンを分解する酵素のうち, CM-セルロース吸着画分(酵素II)について検討した.酵素IIのフコイダナーゼとフコイダンスルファターゼ活性は, CM-セルロースカラムよりNaClを用いたgradient elutionで0.3Mまでに,同じ溶出位置に溶出され,分離できなかった.両活性のpHと熱に対する性質は互いに類似していて,一方の活牲のみをpHあるいは熱によって抑制することは困難と思われた.酵素IIの性質は, CM-セルロースに対する挙動以外は,酵素I (CM-セルロース非吸着画分)の性質と類似していたが,酵素Iに比べて早く反応が止まることと,生成した中性オリゴ糖の種類およびそれらの比率には多少の差があることが認められた.
これらより,酵素IIの基質特異性は酵素Iとは異なる点があり,したがって酵素Iとともにフコイダンの構造研究に有力な手段を提供するものと考えられる.

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