日本農芸化学会誌
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緑茶貯蔵中の香気成分の変化
原 利男久保田 悦郎
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1982 年 56 巻 8 号 p. 625-630

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抄録

緑茶の貯蔵臭の原因物質を解明するために,各種緑茶の貯蔵中における香気成分の変化を,GCおよびGC-MS法によって調べた.
その結果,25°Cに貯蔵した番茶および下級煎茶は1-penten-3-ol, cis-2-penten-I-ol, tvans-2,cis-4-hep-tadiena1, traps-2,trans-4-heptadienalが非常に多く生成した.中級および上級煎茶でもこれら4成分が他の化合物より多く生成するが,番茶および下級煎茶に比較するとその量は少なかった.これらの化合物はにおいの性質から緑茶の貯蔵臭の原隙物質と推定された.
緑茶貯蔵中に,カロチノイド類の酸化生成物と推定される2, 6, 6-trimethyl-2-hydroxycyclohexanone, β-cyciocitral,α-ionone, β-ionone, 5, 6-epoxy-β-ionone, dihydroactinidiolideが少し増加した.
このほか, cis-3-hexen-1-ol,traas-3, cis-5-octa-lien-2-one, 6-methyl-5-hepten-2-one, n-amylalco-hol, n-octanolも貯蔵申に少し増加した.

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