日本農芸化学会誌
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Absidia属におけるキトサンの分布および性状
小林 丘滝口 泰之島原 健三山南 隆徳
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1988 年 62 巻 10 号 p. 1463-1469

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抄録

Mucoraceae科Absidia属の代表的な36菌株についてキトサン含量およびその性状を測定したところ,培地200ml当り概ね100~400mgのアルカリ不溶物質が得られ,その40~50%がキトサンであった.キトサンは菌体を2%水酸化ナトリウム水溶液中, 115°C, 1時間加熱することによリアルカリ処理を行い,さらに2%酢酸溶液中,室温, 30分間の攪拌を2回繰り返すことにより抽出された,これらのキトサンの脱アセチル度は約80~90%の範囲にあった.
また,優良菌株として選択したAbsidia butleri HUT 1001をグルコース,ペプトン,酵母エキスおよび無機塩を含む培地で振盪培養したところ, 44時間で培養液200ml当り150~200mgのキトサンが得られた.このキトサンは,脱アセチル度は約90%で,分子量は約1.2×106であった.また,培養時間を延ばすとアルカリ不溶物質量は増大したが,キトサン量の変化はほとんどなかった.

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