大豆リゾリン脂質の界面活性の研究(第2報) ―酸・塩を含む水相のO/W乳化,分散と可溶化―
1990 年 64 巻 8 号 p. 1361-1366
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1990 年 64 巻 8 号 p. 1361-1366
大豆リン脂質(SP)をホスフォリパーゼA2で加水分解して得られるリゾリン脂質(SLP), SLPを含水アルコールで抽出して得られるリゾホスファチジルコリン(LPC)について,高濃度の食塩水や酸性の水中への油脂の乳化,顔料用チタンホワイトの水中分散,油溶性色素の可溶化,の作用を調べた.
(1) 17%NaCl水溶液と流動パラフィンのエマルション, 15%のNaClを含む醤油とコーン油のエマルションの安定化には,混合リン脂質中に50重量%以上のLPCの含量が必要であった. SLPは同じ条件下でのエマルションの安定化作用が不十分であった.酸性の水相とコーン油のエマルションの安定化には,リゾリン脂質(LP)の含有量が50重量%以上で安定化し, LPC含量との関連は認められなかった.
(2) LPC/ホスファチジルコリン(PC)混合物系の顔料用チタンホワイトに対する水中分散作用は低かった. LPを60重量%以上含有するSLP,およびLPを80%含有するSLP (SLP 80)からアルコール抽出によって得られる, LPCを50重量%以上含有する混合リン脂質(LPC 50以上)は,チタンホワイト粒子をほとんど1次粒子に分離し良好な分散作用を示した.
(3) LPCを20重量%以上含有するLPC/PC混合物系はSudan IIIを可溶化し,可溶化量はLPC, LP含有量の増加につれて増大した.
