農業経済研究
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論文
戦前期日本(1908~1940)における農家数変動の地域性
玉 真之介
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2014 年 86 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

戦前期の日本においては,農家数の変動に際だった地域性があった.本稿の課題は,都道府県別データを用いて,戦前に見られた農家数変動の地域性を検出し,その要因について,イエ制度との関連で考察することである.結論は,以下の6点である.①大都市圏を除くと,東日本と南九州で農家数が増加し,西日本で減少するという地域性があった.②農家数の増減率は,小作農家の増減率と強い相関関係を持っており,農家数の変動は小作農の高い流動性によってもたらされていた.③耕地面積の増減も農家数の増減と相関関係があり,農家数変動と連動していたのは田の面積増加であった.④農村部人口の増減と農家数変動が相関関係にあり,人口の増減が農家数の増減を規定する関係にあった.⑤イエ=単独相続というのは誤認であり,イエは家族の生活保障のため,後継ぎ以外にも最小限の生前分与を行っていた.⑥東日本での農家数の増加は,イエの維持存続を優先しながらも,後継ぎ以外の家族の生活保障として小作地を生前分与した結果と推定される.

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© 2014 日本農業経済学会
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