農業経済研究
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ミニシンポジウム
水田農業の次世代モデルを問う
秋田県大潟村の検証から
佐藤 了長濱 健一郎渡部 岳陽
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2016 年 88 巻 3 号 p. 244-258

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抄録

本稿は,秋田県大潟村における機械化大規模営農の構想と実際の歩みを検証して,水田農業の次世代モデルへの示唆を得るのが目的である.その結果,次のことが明らかになった.第1に,農地の払い下げや営農方式等に関する契約下で,国と入植者の意思はしばしば対立・交錯しつつも,水稲直播等の国構想基幹部分の失敗にもかかわらず,入植者たちの強い欲求と実践が田植機の乗用多条化など稲作専用機械化体系の成立を促し,役割を果たした.第2に,食糧法下の販売努力や環境配慮生産などが奏効して稲作の有利性に拍車がかかり,土地利用方式改変への内発的契機は微弱であった.第3に,消費者,実需者,他産地や畜産経営者等との連携が発展,進化し,新たな変化が起きつつある.

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© 2016 日本農業経済学会
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