2019 年 91 巻 2 号 p. 121-133
本研究では,欧州農協の展開構造を解明すべく,スペイン・アルメリア県で施設野菜の集荷・販売を担っている,5 つの大規模農協のケース・スタディーを行った.その結果は以下の5つに整理できる.1つ目は,農協は,大手スーパーチェーンとの取引拡大や輸出をめぐる競争の激化というビジネス環境に直面し,バーゲニング農協からマーケティング農協への移行を図った組織再編を実施するということである.2つ目は,農協は組織再編に際して,水平的統合を図るが,資産の所有権移転を伴う合併を避け,農協連合を選択する傾向があるということである.3つ目は,水平的統合の結果としての製品カテゴリ及び出荷規模は販売事業の基盤的条件に直接影響を与えるということである.4つ目は,大手スーパーチェーンとの取引拡大は,組合員の自治を制限し,農協のマネージャーの権限を強める働きをするということである.最後に,このような傾向が認められる一方で,複数の組織形態,ガバナンス,ネットワークの組合せが選択できる,欧州農協の組織再編は単線的な方向へ収束することなく多様な方向へと広がることが考えられるということである.