2020 年 92 巻 2 号 p. 147-164
本研究では,農業センサス個票データを用い,加工,観光農園,農家レストラン,農家民宿等の農業生産関連事業の継続要因を分析した.方法は,事業に取り組む農業経営体を「継続」「中止」「開始」等に類型化し,農業生産の規模,事業の多角化,経営体の立地等に注目し,類型間の比較および事業継続を従属変数とするロジスティック回帰分析を実施した.その結果,以下の点が明らかとなった.(1)小規模な家族経営体で離農せずに事業から撤退する傾向にある,(2)継続の経営体では,事業の部門数増加および経営耕地面積の拡大が見られ,一部の家族経営体は組織経営体へ転換,(3)農業生産関連事業の集積地域では,事業の継続率が高い.