2025 年 97 巻 2 号 p. 102-114
本稿は,新しい食料・農業・農村基本法の下での食料安全保障政策を対象に,ポスト新自由主義的側面の現れ方と深度を市民社会組織(CSO)の視点から分析する.新基本法は輸出入依存という新自由主義的側面を掲げながらも,不測時の政策手段として国家統制的性格を持つ法制度を確保し,さらに旧政策からの転換を意味するフードバンクの直接支援によって食料分配にも踏み込んだ.新基本法は,新自由主義とポスト新自由主義と国家統制の混成からなる.CSOもその「鵺性」の戦略的活用を考慮すべきである.同時に,CSOの意見を反映させる実質的メカニズムの工夫とCSOの政策提言能力の向上が求められる.この点は,市民協治に向けた大きな課題である.