国立のぞみの園紀要
Online ISSN : 2435-0494
重度知的障害者の褥瘡の治療ケアと予防ケアに関する研究
松本 義徳中島 英昭今井 圭子穴原 悦子吉田 浩美佐藤 あつ子金子 暁龍崎 圭一郎高橋 徳之井沢 邦英
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2008 年 1 巻 p. 134-144

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抄録
2002 年度の診療報酬改訂により「褥瘡対策未実施減算」が新設され、各医療機関では褥 瘡発生の危険の高い患者に対して、褥瘡発生の予防、発症早期からの適切な処置を含めた 体制を整備することが必要となった。2004 年度には褥瘡対策管理加算が新設され、さらに 2006 年度には入院基本料算定の必須要件となるなど、より積極的な褥瘡対策が求められる ようになった 1 ) 。その結果、国内において褥瘡を有する患者数の減少や褥瘡サイズの縮小 傾向が報告されている 2 )。 当園は 50 歳以上の利用者が 85%を占め 3 ) 高齢化が進行している。車椅子の使用率や寝 たきり者は年々増加し、さまざまな疾患が顕在化しつつある中、褥瘡発生のリスクも高く なっている。これらは地域移行の時代にあって施設全体の大きな問題となっている。 このような状況から当園では、2006 年 4 月に診療所内に褥瘡対策委員会を設置し、他職 種が連携した褥瘡の治療、予防、再発防止等の対策と啓発活動を行っている。 今回、重度知的障害者施設において独自の褥瘡管理システムを構築し、生活支援員や理 学療法士(PT)との連携を強化し、褥瘡の評価、治療、予防をトータルでケアする体制を 整備した。その結果、褥瘡の早期発見の増加や平均治療期間の短縮などの治療効果をえる ことができたのでここに報告し、チーム医療で取り組んだ実際の事例を 4 例紹介する。
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© 2008 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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