国立のぞみの園紀要
Online ISSN : 2435-0494
重度知的障害者におけるストレス度に関する研究
三輪 敬一野口 直樹黛 智則石井 裕美杉田 祐子井沢 邦英高橋 徳之
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2008 年 1 巻 p. 126-133

詳細
抄録
重度知的障害者の多くは自ら、痛み、苦痛、不快、喜び、満足感、などを的確に伝える ことが出来にくいことが多い。従来、人のストレスや感情を評価するには,脳波、脳血流 量などの脳機能、血圧、心拍数などの循環機能、呼吸数、呼吸量などの呼吸機能、発汗、 体温、眼球運動などが指標として用いられてきた。これらの生理機能は、交感神経系と視 床下部-下垂体-副腎皮質系の内分泌系の二系統で調節されている。後者はコルチゾール が代表的なホルモンであり、前者はカテコールアミンがストレスにより分泌が亢進するこ とが知られている。 本研究では、コミュニケーションの取り難い、採血拒否の強い重度知的障害者のストレ ス度を測定するために、唾液中に含まれるアミラーゼ活性を測定し、血中のエピネフリン 分泌量を推定するという方法を用いた。本方法では採血が必要ではなく、唾液を用いるた め非侵襲性的に測定することが可能であり、かなり正確に測定時点での生体内のエピネフ リン分泌量を推定出来るものと思われる。 今回は、経口と経管栄養摂取者における日内変動を測定した。また、摂食・入浴・歯磨 きの行動下で、経口と経管栄養摂取群、抗てんかん薬服用と非服用群、また活動性の乏し い人と対象群に分け、唾液アミラーゼ値を測定し、血中エピネフリン濃度を推定して、ス トレスの度合いを測定した。
著者関連情報
© 2008 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top