国立のぞみの園紀要
Online ISSN : 2435-0494
のぞみの園における研究の足跡
志賀 利一村岡 美幸相馬 大祐大村 美保五味 洋一信原 和典
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2014 年 10memorial 巻 p. 122-132

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抄録

のぞみの園における調査・研究は、のぞみの園法に定 める「知的障害者の支援に関する調査及び研究等を行うこ とにより、知的障害者の福祉の向上を図る」を達成すべく、 「調査・研究の計画と実施」「研究成果の発表と積極的な 普及」を行ってきた。 平成 15 年度からの第 1 期中期目標期間においては、 「高齢の知的障害者、重複障害者、行動障害のある知的 障害者及び医療的ケアを必要とする知的障害者等、重度 知的障害者の地域への移行に向けた施設内処遇と地域 生活支援体制の構築の在り方に関する調査・研究」、そし て平成 20 年度からの第 2 期中期目標期間においては「重 度知的障害者の地域移行プロセスの確立に関すること、 行動障害等を有するなど著しく支援が困難な者の支援方 法等に関すること、及び知的障害者の健康管理、医療と 福祉の連携に関する調査・研究」を中心に研究テーマを 設定した。また、研究内容については、障害福祉施策の動 向や社会ニーズを踏まえ、障害福祉施策の推進に資する ものとなるよう、さらにその成果が知的障害者関係施設等 で活用されるなど実効性のあるものになるよう務めてきた。 毎年、4本から 13本の研究を実施し、研究の成果は、紀 要としてまとめると同時に、随時ニュースレターやホームペ ージ等においてわかりやすく掲載した。また、のぞみの園 主催の研修プログラムの開発・実施、学会誌等への投稿・ 掲載、学会・研究会での発表、そして有償刊行物の発行を 行ってきた。なお、各年度の主な研究テーマについては、 表 1 の通りである。 調査・研究業務を計画的かつ効率的に進めるため、外 部研究者、行政関係者、社会福祉施設関係者の参加を得 て、平成 16 年 2 月より「国立のぞみの園研究会議」を設置 し、のぞみの園における調査・研究のあり方や研究テーマ 等について協議を行ってきた。また、国立のぞみの園研究 会議の下に「調査・研究調整会議」を設置し、研究の推進 にあたり各部所間の調整を図ってきた。さらに、平成 23 年 からは、研究の倫理的側面や COI(利益相反)の管理等に ついて審査するために、外部の有識者を含めた委員 6 人 で構成する「調査・研究倫理審査委員会」を設置し、研究 テーマやその方法について審査を受けた。 研究の実施体制として、企画研究部企画研究課研究係 に平成 15 年度より研究員を任用し、平成 17 年度より企画 研究部内に研究課を新設、平成 23 年度の組織改正に伴 い事業企画局研究部を新設し、研究課、研究係の 1 課 1 係で組織された。 第 1 期・第 2 期中期目標期間の業務実績の最終評価と して、それぞれ「重度・重複の知的障害者の地域移行に関 する調査・研究に取り組むとともに、全国の知的障害者の 福祉・保健医療等の業務に携わる者の資質の向上を図る ためのセミナー等を積極的に実施している」「知的障害者 の地域移行、行動障害等を有する著しく支援が困難な者 への支援、矯正施設等退所者への支援、発達障害者・児 への支援、健康管理、福祉と医療の連携など、国の政策 課題となっているテーマや全国の知的障害関係施設・事 業所において関心の高いテーマを取り上げて実施するとと もに、これらの成果を活用するなどにより、障害者福祉や 保健医療に従事する者の資質向上を図るための研修会や セミナー等を積極的に実施したことを評価する」との結果を 得ている。

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© 2014 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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