2014 年 10memorial 巻 p. 37-105
このとても重要な手引きの序文の執筆の依頼を受けたこ とを大変光栄に思います。 ダウン症協会では、ダウン症の方が認知症に罹患 したと き、その発症の段階から適切なアセスメントと治療を受ける ことができるようにすることが必要だと感じておりました。認 知症とダウン症との間に何らかの関連があることについて は、現在、一般的に理解されつつあります。しかし、認知症 になった知的障害者の治療とケアに関しては、誤解されて いること、知られていないことが未だにたくさんあります。そ して、そのことが非常に不適切な実践やサービスの提供に 繋がっている場合もあります。 この手引きの出版は非常に時宜 にかなったものといえま す。なぜなら、認知症の知的障害者にとって必要不可欠な アセスメント、診断、治療、そして支援について書かれたも のだからです。なかでもとりわけ賞賛すべきは、この手引き が、幅広い科学的根拠に基づいて書かれていること、さら に、知的障害者およびその家族と直接関わっている専門 家の見解を含めてまとめあげていることです。 この手引きによって、知的障害者のための包括的なサ ービスや実践が発展し、本来ならば受けられるサービスを 受けられずにいる方々が一人でも減ることを願います。こ の手引きが、ヘルスケアおよびソーシャルケアの専門職、 サービス提供者、関連機関の長、ケアスタッフ、家族など、 知的障害者に関わるすべての人に読まれ、実践されること を願います。