2020 年 13 巻 p. 13-31
本研究は,平成30(2018)年4月より新たに創設された自立生活援助について,自治体における指定の状況や,自立生活援助事業所での利用者の状況や支援の内容など,サービスについての実態把握と効果の検証を目的として実施した.研究内容は,各都道府県,指定都市,中核市を対象に自立生活援助の指定状況等の調査と,サービスを提供している指定事業所を対象にサービスの実施状況や利用者の状況等,制度の効果や課題等についての調査を行った.その結果,指定事業所は全国で274事業所であった.利用者は,年齢は50歳以上が約半数近くを占め,障害種別は精神障害者と知的障害者が大半であった.自立生活援助のサービスを利用することで地域での単身生活を実現している人が多く,家庭や病院,施設から単身生活への移行のために活用していることが明らかになった.今後の課題として,報酬と標準利用期間の妥当性の検証や,指定事業所の拡大に向けた働きかけがあげられた.