2020 年 13 巻 p. 92-96
A園では,利用者の高齢化にともない,認知症に罹患する利用者が増え,なかには,身体機能および意欲の低下がみられる利用者も確認されるようになってきた.そこで本研究では,認知症を発症した高齢知的障害者を対象にライフストーリーワークを実践し,意欲の向上が図られるかを検証することとした.方法は,認知症と診断されている当法人の利用者1名を対象に,アルバムを見ながら興味関心の高いできごとを整理し,その写真を集めた短編スライドショーを作成・視聴することとした.その結果,アルバム鑑賞,自分史アルバムの作成・視聴と,ワークを実践していく中で,支援員と楽しそうにコミュニケ-ションを取る姿が見受けられ,認知症を発症した高齢知的障害者であっても,ライフストーリーワークが有効に活用できる可能性が示唆された.