抄録
知的障害者支援施設A園では,身体機能の低下や疾病の罹患に伴う服薬治療が必要な方が増加している.この服薬を安全に行うためのマニュアルは適宜更新しているが,誤薬事故は発生している.その原因を調査した結果,安全な服薬には,「薬の管理方法」「服薬手順」を含め服薬業務全般に係わるシステムの見直しと支援者が気をつけるポイントを示す「指針」が必要なことが解った.この結果を受け本研究では,「服薬管理指針の作成・導入」と「薬の管理方法の見直し」の導入とその結果について調査した.「服薬管理指針の作成・導入」は指針の内容(12項目)について,全ての生活支援員に対して対面及び伝達方式で説明を実施した,説明のアンケート結果では,「必要」と「やや必要」を合わせて80.9%であった.について,指針の内容で実施可能と考えるものは, 「声出し,指差し確認を徹底する」が最も多く次いで「服薬の業務は集中できる環境で行う」であった.「薬の管理方法の見直し」については,与薬者は与薬時に起こりやすい事故の予防に集中できるといった回答が得られた.反面,作業時間が増加したという回答があった.今後の更なる改善が必要な結果であった.